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第29号 人気のスキームが利用不可に さらばタワマン節税 NEW

<納税通信 第3810号 1、2面引用> 

 

 相続税対策として人気だった「タワマン節税」のスキームが、規制された。合法的な節税手法だったが、「税逃れに利用されている」として当局が相続税評価額の算定ル—ルを見直した。約10年間続いた流行はとうとう終わりを迎えることとなった。税法が想定していなかった"スキマ"を突く節税手法は過去にも多く存在し、税逃れと判断されて規制されるという歴史を繰リ返している。ただ国際的には「規制から予防へ」の流れが進みつつあり、日本でも今後、議論が本格化しそうだ。


 国税庁は昨年10月、夕ワーマンションに適用する相続税の新たな評価額算定ルールを盛り込んだ通達を出した。マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正し、高層階であるほど評価額を引き上げるという内容だ。新たなルールは今年1月1日にスタートしている。相続税の仕組みでは、同じ価格の資産であっても現金に比べて不動産で所有しているほうが相続財産としての評価額が低く抑えられる。不動産には評価額を軽減するさまざまな特例が用意されているためで、「相続税対策は不動産対策」と言われるゆえんだ。現金を不動産に換えて資産を圧縮することは、相続税対策の基本と言える。

 これまでは、不動産がマンションであれば、さらに高い節税効果が見込めた。従来のルールではマンションの階数が変わったとしても住戸面積が同じなら相続財産としての評価は変わらない。その一方で、眺望のよい高層階になるほど実勢価格は高くなるため、上の階ほど実勢価格と評価額の開きが大きくなる傾向がある。

 例えば同じマンションの中でも、1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円で、相続評価額はいずれも2千万円とすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれる。数十階にもなるタワーマンションであれば、低層階と高層階の価格の開きが1億円以上になることも珍しくないため、節税効果もその分大きくなる。

 これを利用し、将来の相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するというスキームが「タワマン節税」だ。

 タワマン節税という手法は昔からあったが、2010年代に入ってからのマンション価格の高騰で一躍ブームとなった。国土交通省が公表している不動産価格指数によれば10年時点での不動産価格を100としたとき、住宅全般では15年は105ほどであるのに対し、マンションの区分所有では120を突破した。相続税対策としての需要の高まりに加えて東京五輪を見据えての地価上昇、外国人による不動産投資熱などが相まった結果、15年の全国のマンションの平均価格は前年比7.2%増の4618万円となり、調査を開始した1973年以来、最高額を記録した(不動産経済研究所調べ)。なおマンション価格の高騰はその後さらに進み、23年10月時点では住宅総合の指数が136.4であるのに対しマンションは193.9となっている。マンションの価格が上がるほど節税効果も大きくなるため、相続財産を圧縮したい多くの富裕層が同スキームを利用した。



                                                        タワマン節税の事例

所在地 総階数所在階数専有面積
市場価格
相続税評価額
かい離率
東京都
43階
 23階
67.17㎡
1億1900円 
3720万円3.20倍
福岡県
  9階
   9階
78.20㎡
  3500万円
1483万円2.36倍
広島県
10階
   8階
71.59㎡
  2240万円 
  954万円 
2.34倍

 

  こうした状況に警戒を強めた当局は、15年秋に全国の国税局に対して、行き過ぎたタワマン節税が行われていないかを厳重にチェックするよう指示を飛ばしている。だがタワマン節税はあくまで合法であり、それ自体がルール違反に該当するわけではない。そこで当局が使ったのが、相続税の財産評価のルールを定めた財産評価基本通達の総則の第6項、いわゆる「総則6項」だった。

 同項では通達によって評価することが「著しく不適当」と認定できるケースに限り、「国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定している。評価ルール全体における例外規定とも呼べる内容で、この項目を適用すれば最終的には国税側の言い値で評価されることになる。

 タワマン節税は合法的な手段であるため、当局としては総則6項を使って否認するしかなかった。だがこのやり方に対しては、「納税者の予見可能性を妨げるやり方だ」として批判も少なくなかった。当局としても多用はできなかったようで、総則6項を用いて夕ワマン節税を否認したのは2012年~21年の10年間で9回だったことが判明している。


 そしてタワマン節税の全面規制に至る最後の一押しとなったのが、22年の最高裁判決だ。この裁判では、タワマン節税を総則6項で否認した当局の処分が適正であったかどうかが争われた。判決では課税処分そのものは適法だとして当局の主張を認めたのだが、「通達評価額(路線価)と鑑定評価額(実勢価格)との間に大きなかい離があるということができるものの、このことをもって(特別の)事情があるということはできない」と当局にくぎを刺した。総則6項を適用するためには税逃れの意図があったという確実な証拠が必要であり、税額のかい離のみをもって総則6項で否認するのは認められないということだ。

 この最高裁判決後、夕ワマンを巡る相続税の評価ルール見直しに向けた機運は高まった。そして同年末の23年度税制改正大綱に「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格とのかい離の実態を踏まえ、適正化を検討する」との方針が示され、有識者会議などを経て昨秋の通達に至った。これにより富裕層の相続税対策として流行してきた「タワマン節税」は、完全に封じ込められることとなった。

 タワマン節税のように富裕層や経営者の間で流行した節税手法が当局に目をつけられて規制されるというのは、税の歴史を振り返ればよくある流れだといえる。

 例えば最近では、23年度税制改正で「コインランドリー節税が規制された。このスキームは、利益の多く出た年にコインランドリー事業への投資をした上で、中小企業投資促進税制などの税優遇を適用し、その投資額を損金化する手法だ。受けられる優遇自体は税の繰り延べに過ぎないが、それを利益が多く出た年に組み合わせて相殺することで、トータルの法人税負担を大きく減らせるため人気を博した。これが23年度改正では、中小企業投資促進税制から|コインランドリー業(中略)を除外する」と名指しで規制されている。

 さらにその前年の22年度税制改正では、ドローンを大量購入して一括損金にした上で、リースをして利回りを稼ぐ通称「ドローン節税」が規制された。これは30万円未満の償却資産について全額を取得年度の損金にできる「少額減価償却資産の損金算入の特例」を活用したスキームだ。本業で予想外の利益が出て法人税負担が大きくなってしまう年に、30万円未満のドローンを複数台購入して全額を損金化。その上で購入したドローンはすべてドローンの操縦を教える学校や、工場視察のためのドローン撮影を営む業者に一括してリースし、数年かけてレンタル収入を得た後、最終的にはドローンそのものを売却して利益を得るという手法だった。こちらも税制改正で、ドローン関連事業を本業とする企業以外は少額資産の特例を使えなくなっている。

 22年度改正では、似た仕組みを使って税負担を減らす「足場節税」や「LED節税」も同時に規制された。さらにさかのぼれば、マンション購入時に多額の消費税の還付を受ける「自販機スキーム」、日本の減価償却ルールを国外不動産に適用することで多額の損金算入を行う「国外不動産スキーム」など、富裕層に人気の節税手法が多数生まれては、ふたをされるという流れが繰り返されてきた。

 これまで挙げてきた多くの節税スキームは、いずれも税法のルールにのっとった「節税」であり、法に触れるような「脱税」ではない。

 だが当局にとってはルールが想定していなかった法の抜け穴を突くものとして規制されてきた経緯がある。どこまでが正当な節税で、どこからが抜け穴を突いた税逃れなのかは当局のさじ加減―つでもあるため、納税者にとってはどの節税手法が将来的に規制される可能性があるか予測が難しい点は否めない。

 ただ注目したいのは、節税スキームの「報告」を義務付ける流れが世界的に進んでいるということだ。日本税理士会連合会の国際税務情報研究会が22年に公表した答申では、世界的に広がりつつある節税手法の「義務的題不制度」が、今後は日本でも導入される可能住が高いとの見方を示している。

 例えばEUでは、税率の著しく抵い国への利益移転を図る節税策を計画したときに、関与した会計士、金融機関、弁護士などに情報開示を義務付けている。さらに会計士を介さず節税策が行われたときには計画を実施する企業や個人に関示義務が生じ、節税プランに関与しながら報告を怠った場合には罰則が科される内容となっている。答申では「EU、イギリス、アメリカで実施されるということは、同制度が世界標準となりつつある」として、日本でも「今後、その検討が加速されると思われる」と結論付けている。

 これまでの様々な節税スキームは、生まれてから規制されるまで短くても数年かかり、その間は「やったもの勝ち」の面があった。しかし今後、節税スキームの報告義務制度が日本でも導入されれば、当局の姿勢が規制から予防へと変わり、「流行する前に規制」がスタンダードとなっていくかもしれない。

谷の私見
 タワーマンションの評価について、新しい評価方法が出来ました。
 補正率を加味して、高層階と低層階で相続税評価が異なるように計算される仕組みになりました。
 タワーマンションに限らず、区分所有物件について行う計算ですので、普通のマンションでもこの補正率を計算して評価する必要が出てきました。

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