ホーム>サービス内容

時事ネタ

第3号 インボイスのギモンQ&A ② 2023.2.17


<2022年10月3日付 納税通信 第3741号 10面>

インボイスのギモンQ&A ② 

2023年に開始する「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)に向け、インボイスを発行する事業者になるための登録申請が昨年10月に始まっている。

新制度に自社はどのように対応すべきか、国税庁作成の「インボイス制度に関するQ&A」の内容を把握して事に当たっていきたい。


★適格請求書等保存方式の下での税額計算の概要★

Q3 適格請求書等保存方式における税額計算の方法について教えてください。


A3 軽減税率制度の実施後は、消費税率が軽減税率と標準税率の複数となることから、売上げと仕入れを税率ごとに区分して税額計算を行う必要がありますが、売上税額から仕入税額を控除するといった消費税額の計算方法は、適格請求書等保存方式においても現行と変わりません。

具体的な売上税額と仕入税額の計算方法は、次のとおりとなります。


1.売上税額

⑴原則(割戻し計算)

税率ごとに区分した課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に、108分の100又は110分の100を掛けて税率ごとの課税標準額を算出し、

それぞれの税率(6.24%又は 7.8%)を掛けて売上税額を算出します(新消法45⑤、新消令62①)。


⑵特例(積上げ計算)

相手方に交付した適格請求書又は適格簡易請求書(以下これらを併せて「適格請求書等」といいます)の写しを保存している場合 (適格請求書等に

係る電磁的記録を保存している場合を含みます)には、これらの書類に記載し消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とすることができます(新消令46③)

なお、売上税額を積上げ計算した場合、仕入税額も積上げ計算しなければなりません。


2.仕入税額

⑴原則(積上げ計算)

相手方から交付を受けた適格請求書などの請求書等(提供を受けた電磁的記録を含みます)に記載されている消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて仕入税額を算出します(新消法30①,新消令46①②)。


⑵特例(割戻し計算)

税率ごとに区分した課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に、108分の6.24又は11O分の7.8を掛けて算出した金額を仕入税額とする

ことができます(新消令46③)。

なお、割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。



★売上税額の計算方法★

Q4 適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法について教えてください。

 

A4 適格請求書等保存方式における売上税額については、原則として、課税期間中の課税資産の譲渡等の税込金額の合計額に11O分の100(軽減税率の対象となる場合は108分の100)を掛けて計算した課税標準額に7.8%(軽減税率の対象となる場合は6.24%)を掛けて算出します(割戻し計算)。

また、これ以外の方法として、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものも含みます)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることもできます(積上げ計算)(新消法45⑤、新消令62)。

ただし、適格簡易請求書の記載事項は、「適用税率又は税率ごとに区分した消費税額等」であるため、「適用税率」のみを記載して交付する場合、税率ごとの消費税額等の記載がないため、積上げ計算を行うことはできません。

なお、売上税額の計算は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を分けて適用するなど、併用することも認められますが、併用した場合であって

も売上税額の計算につき積上げ計算を適用した場合に当たるため、仕入税額の計算方法に割戻し計算を適用することはできません(インボイス通達3-13)。

谷の私見
 Q3については今までの消費税の計算とかわりませんが、そもそも消費税の計算ケ鄭は専門家以外あまりご存じないかもしれません。売り上げにかんする「特例 積上げ計算」を利用する最たる業種としてあげられるのは「コンビニ」や「スーパー」です。どちらも法律として認められている計算方法ですが、意外と「特例 積上げ計算」を適用するのを失念しているケースがあるようです。この制度を利用する際の注意点としては、                                ・レシートに本体価格と消費税が区分表示されている                      ・小さい単位での販売が多数になる                              コンビニやスーパーを経営されていらっしゃる経営者の方や経理部漁にとっては、知っておきたい制度ですね。

掲載記事

掲載記事

  • 第1号 ふるさと納税 確定申告の時期になってきましたが、ふるさと納税を上手に利用しましたか?
  • 第2号 インボイスのギモンQ&A①
  • 第4号 政府税調 退職金への増税を検討
  • 第5号 ふるさと納税ワンストツブ特例の注意点
  • 第6号 仕入税額控除が不可能に 免税事業者との取引 続ける?やめる?
  • 第7号 国税長と金融庁がタッグ ”不適切”な保険商品をチェック
  • 第8号 2023年度税制改正大綱
  • 第9号 条件満たせば一律解除 経営者保証に新ルール
  • 第10号 長き戦いに終止符 ついにタワマン節税終焉へ
  • 11号 今年の確定申告からスタート!300万円副業通達改正でこう変わる
  • 12号 経営者保証改革プログラム 金融機関が対応開始
  • 第13号 税制改正関連法が成立 相続時精算課税を大拡充
  • 第14号 金融不安で価格急騰!有事に強い金投資
  • 第15号 中小企業経営者に大打撃!現実味帯びる退職金増税
  • 第16号 給与所得扱いで税率3倍に!恐ろしきストックオプション税制
  • 第17号 固定資産税取られ過ぎています
  • 第18号 相次ぐ幼稚なトラブル マイナンバーなんてやめちまえ!
  • 第19号 ガラリと変わる相続対策 2つの贈与を賢く選択
  • 第20号 ジャニーズ事務所まだある事業承継税制の抜け穴
  • 第21号 インボイス開始!やること、きめること
  • 第22号 インボイス スタート後も反対の声
  • 第23号 こんなにあるぞ!ステルス増税
  • 第24号 贈与税が大激変!新定番どこまで使える?
  • 25号 外形標準課税の見直し 基準に資本剰余金を追加へ
  • 第26号 コストコ 免税販売めぐり追徴15億円
  • 第27号 国税が地裁で敗訴「総則6項」認められず
  • 第28号 今も使えるオペレーティング・リース節税
  • 第29号 人気のスキームが利用不可に さらばタワマン節税
  • 第30号 Jリーグも怒られた”居住者・非居住者”の境界線
  • 第31号 国税庁 監視される富裕層の資産 海外口座250万件超の情報入手
  • 第32号 金で投資と節税を両立
  • 第33号 仏具の購入で相続財産圧縮
  • 第34号 新たな金還付スキームと当局の対応
  • 第35号 能登半島地震でも効果発揮!生命保険契約照会制度
  • 第36号 設備投資で事業拡大 国と地方でW税優遇
  • 第37号 資金調達の新たな手段 CFと税金NEW!
  • 当社では1時間の無料相談会を開催しております。対面・お電話・オンラインに対応しておりますのでまずは1度お気軽にご相談ください。

    今まで提案してきた数は500件以上、事業承継専門の税理士です。

    ・今は決まっていないけど、将来的に準備しておいたほうが良いことがあれば教えてほしい。

    ・後継者が若くてまだ承継できるタイミングではないがどうしたらよいか。

    ・顧問税理士へ相談しているが、他にも良い方法があるか気になる。

    ・重要なのは理解しているけど、今すぐではないと考えている。

     など、疑問や不安を解消するための1つのツールとしてぜひご利用下さい。